「最初の旅は越えられない」
これが何度か旅をして出した結論だ。
僕が初めて海外を旅したのは1987年、大学4年生の時だ。
タイ、シンガポール、マレーシアを2週間かけて旅をした。
この旅が最高に楽しかった。
帰る日が近づくにつれ「ああ、帰りたくない・・・」と強く思っていたのを今でも思い出す。
それから僕は海外旅行にはまり、暇さえあれば海外を旅する様になっていった。
そして最初の頃この様に考えていた。
「最初にたまたま行ったタイがこんなに楽しいんだから探せばもっと楽しい場所があるに違いない」
「あの心弾む、ワクワクした旅がきっとまたできるんだろう」、 と。
しかし残念ながら2度とあの旅を越える楽しさは味わえてない。
そしてこれからもきっとそうだろう。
やはり何でもそうだと思うが最初の印象は強烈である。
あの時僕は海外に行くのも初めてなら飛行機に乗るのさえ初めてだった。
夜中にバンコクの空港に着き、宿さえ決めておらず、これからどうなるのだろう・・・というドキドキと海外にいるという興奮。
そして一夜明けてからの日本はまだ寒いというのにバンコクの真夏のギラギラ輝く太陽。
全てが感動で楽しかった。
まだ若く好奇心も旺盛で、全ての事を楽しむ事ができたんだろう。
たまたま選んだタイという土地柄も大きな要因のひとつだったと思われる。
タイにはカオサンという世界最大と言われる旅行者街がある。
世界最大という事はそれだけタイに魅力があるから人が集まって来るわけでそんな魅力のある場所に最初に行ってしまったから今でもあの時の楽しさを越えられないのかもしれない。
そして今でも旅をし続けている。
そして今でもあの旅を追い求めている。
頭では分かっていても「もしかしたらあの旅を越えられる楽しさに出会えるかもしれない」と。