人生最大の下痢はインドのアグラだった。
アグラと言えばタージマハールである。
僕も例に違わずタージマハールを目的にアグラを訪れた。
下痢の原因なんて分からない。インドではあまりにも下痢の要因となるものが多すぎて皆目見当もつかない。
昨日食べたサモサ(ジャガ芋の入った餃子的な食べ物)の油が悪かったのかもしれないし、ターリー(インドの定番定食)の付け合わせのオカズが痛んでいたのかもしれない。
買った水だって安心できない。空のペットボトルにその辺の水を入れて販売しているところだってあるのだ。
第一インドでは街中に野良牛がウロウロしており、そのフンが強烈な熱気で乾燥され街中に舞い、普通にしてても目や口や鼻から身体の中に入って来るのだ。(なのでハードコンタクトの僕は目が痛くて大変だった・・・)
それらだって充分下痢の要因になりうるだろう。
下痢は突然来て全く前兆は無かった。
エアコン付きと言われたが全く効かず、深夜蒸し暑い中寝返りを打っていると突然便意をもよおし、トイレに行くと「サー」っと水の様な便が流れた。
その時は「ああ、ついに来たか」くらいにしか思っていなかったがそれからが大変だった。ほぼ1時間おきに12時間ずっとトイレに通いっ放しだった。
(ちなみにインドのトイレは紙が使えないのでカップに水を汲んでお尻に流し、左手で拭く為お尻が腫れ上がる心配はなかった)
日本から持って行った正露丸などまるで役に立たず、一向に治る気配がない。
困った事に次の日にはデリーからバンコク行きの飛行機に乗る為今日中には移動しておきたかった。
意を決して昼頃チェックアウトし駅に向かったものの、2~3分も歩くとたちまち便意をもよおしチェックアウトしたばかりのゲストハウスに戻る始末・・・
トイレを借り、もう一度トライするもあえなく同じ事の繰り返し・・・
するとゲストハウスのマネージャーが病院に行って2~3時間休んだ方がいいと心配してくれた。
この男、サリームは基本的にはいい奴なのだがそこはインド人。全く頭から信用していいかと言うと疑問符がつき、何度かボラれたりボラれそうになったりと油断がならない。
しかしこの時は本当に心配してくれた様でバイクで病院まで連れて行ってやると言う。
どうしようか迷ったがこのままインドの列車に乗ってデリーまで行く事を考えるととてもじゃないが不安である。
何故ならここアグラに来るまでの列車はセカンドクラスだったのだがそれでも通路にまで人があふれ返りトイレまで行くのすら一苦労であり、トイレ自体もとても汚くて使用するのもためらわれるからである。
ましてやデリーまでの3~4時間の間(列車によって異なる)何回トイレに行かなければいけないか分かったものではない。
それらの事を考えて僕はサリームに病院まで連れて行ってもらう事にした。
次回に続きます。