(よかったらこの話はコロナ後初のカジノ旅①ポイペトから読んで下さい)
7000バーツ負けまで後退した勝負を中止した時、時間は夜中の3時を過ぎていた。
空腹に気が付きカジノホテル内のレストランに行くと24時間やっているはずなのだが残っていたのはカチカチになったチャーハンと微妙な味のする青菜を炒めたカンボジア料理だけだった。
料理人は誰もおらず仕方がないのでそれらを部屋に持ち帰り一緒にビールを飲んだ。(このカジノはレストランでアルコールは飲めない)
そしてその酔いの力を借り、何とか眠りにつく事が出来た。
それから何時間経っただろうか。
わりとスッキリした気分で目覚めた僕はシャワーを浴びてからバカラテーブルに復帰した。
この時自分に言い聞かせていたのはとりあえずプラスマイナスゼロを目標にして今回の旅を終わらせよう、という事であった。
こんな遠くまで来て全く儲けがないなんて空しいが仕方がない。
7000バーツを取り返し、さらに儲けを出すのは容易ではない様に思えた。
あまり欲をかかずここは一旦負ける事だけを回避しよう。
そこから今度は500バーツをベースに賭け始めたのだが、特別調子がいいわけでもないのにジワジワと手元の資金が増えていく。先ほどとは逆のペースである。
4勝3敗、または5勝4敗くらいの感じなのだろうか、気が付くとすっかり負けを取り返しプラス700バーツまで復活していた。
これは間違いなく7000バーツまで負けが込んできた時に自棄にならず一旦思い留まって名誉ある?撤退をし、悪い流れを断ち切ったお陰であろう。
そしてそれからしばらくしてこの旅のハイライトがやって来た。
僕の賭け方はツラ目、戻り目を両方追いかけるスタイルだ。
ツラ目とはバンカーならバンカーが連続して勝つ展開で、戻り目とはバンカーとプレイヤーが交互に勝つ展開である。
つまりもしバンカー、バンカーと勝ったならそのままバンカーに賭け続け、外れるまでバンカーに賭け続ける。
逆にバンカー、プレイヤーと勝ったなら次はバンカーに賭ける。
この時はプレイヤーが勝った後、どちらが勝ってもおかしくない展開であったが僕はプレイヤーのツラ目に賭けた。
このテーブルには僕の他には4~5人のお客さんがいたがその全員がバンカーに賭けた。
そしてカードをめくるとTieゲーム(引き分け)になり、「フーッ」というため息の後、再度賭け直すと同じ様に僕だけプレイヤーに賭け、他の人はバンカーに賭けた。
そしてまたカードを開けると僕の賭けたプレイヤーの勝ちだった。
するとその4~5人は同じグループだったらしく全員がこの勝負を境に席を立ち、僕だけ1人テーブルに残り勝負をする事になった。
こういう事は珍しい。夜中だったらいざ知らずこんなまだ遅くない時間にずっと1人で勝負を繰り返す事はよっぽど暇なカジノ以外あまりない。
まるでその時は真っ暗な中、僕にだけスポットライトが当たりバカラの勝負をしている様だった。
その中で僕は勝ち続けた。
引き分けの後
プレイヤー(300バーツ)
プレイヤー(600バーツ)
プレイヤー(1200バーツ)
プレイヤー(1000バーツ)
プレイヤー(1000バーツ)
プレイヤー(1000バーツ)
プレイヤー(1000バーツ)
プレイヤー(1000バーツ)
プレイヤー(1000バーツ)
と賭けて当て続け、次もプレイヤーに賭けて外した。
そして僕はその瞬間に席を立った。
もう何時間も勝負をしていたのでここが潮時と判断したのだ。
そしてカジノのディーラーの女性に「すごいわね」なのか「ついてたわね」なのかカンボジア語なので分からないが雰囲気からその様な事を言われ、部屋に戻ってお金を数えるとトータルでおよそ1万バーツほどプラスになっていた。
こんな時に飲むビールほど美味いものはない。
僕は勝負の綾を思い出しながら1人ニヤニヤとシンハービールで祝杯を挙げた。
もうちょっと続きます。