(よかったらこの話は「コロナ後初のカジノ旅①ポイペト」から読んで下さい)
バカラの勝負は非常に疲れる。
座って賭けているだけだからそんなに疲れることないだろう、と思われるかもしれないが脳内はめまぐるしいほど様々な考えが駆け巡っている。
「流れ的にはバンカーとプレイヤーどっちもありえる、さてどちらにするか」
「さっき2で勝ち切った人がバンカーに賭けたな、ここはこの人に乗ってみるか」
「随分賭け方が割れたな、やはり皆迷っているな」
「そうだよな、この勝負はどっちに転んでもおかしくないもんな」
「じゃあ、様子見で少し賭け金を下げるか」
「いやいや、最低でも500バーツを割ったら勝ってもやっている意味がないだろ」
「それにしてもPair(ペア 同じカードが2枚出る事)に賭ける人が多いな、控除率が高いのを知ってるのかな」
「この人絞るの(カードをめくる動作)めちゃくちゃ時間掛けるな」
「お、バンカーか、さっきの人に乗って良かった」
「ここはこのままバンカープッシュだな」
などと1勝負でも様々な考えが頭の中を駆け巡っている。実際にはもっと色んな事を考えているいるのだがそれをめちゃくちゃ集中した精神状態で何時間か行うので終わった後疲労困憊してしまうのだ。
身体の疲労は肉体だけのものではなく、精神から来る疲労も相当なものだとバカラをやった後分かる。
そして疲れたから寝ようとしても脳内に分泌されたアドレナリンのせいなのかほとんど眠る事が出来ない。
更にその上、昼夜逆転してしまうのも当たり前でバカラは本当に身体に悪い・・・
そんなこんなで最初の勝負をした5~6時間後、休んだか休んでないんだか分からない状態でまたバカラのテーブルに着いた。
とりあえず2700バーツ浮いているので気持ちは多少楽である。
そんな気持ちで1000バーツずつ賭けているとどうも調子が上がらない。
完全に調子が悪いわけではない。
当たったり外れたりを繰り返しながらジワジワと負けていくのだ。
そして小さく当たって大きく外れる、というか1000バーツを賭けた時に当たって2000バーツの時に外れる、というのが何度か繰り返された。
極めつけは賭け間違えた時だ。
次はプレイヤーだと思いその通り賭けたところ、案の定プレイヤーが勝ち「よし!」と思ったところ何故だか僕が賭けたお金はバンカーに置いてあった・・・
単純に賭け間違えてしまった様だ(泣)
頭に血が上ってくるのが分かった。
こんな時は止めなければならない。
頭では分かっているが身体が言う事を聞かない。
そのままズルズルと賭け続け、結局プラス2700バーツから1万バーツ近く減ってマイナス7000バーツのところでこう思った。
「ここは一発勝負で一気に逆転するか・・・」
アホである。
こんな事を今まで何度も繰り返して、またも同じ事をやろうとしている。
そして案外当たるのではないか、などと本当におめでたい事を実に都合よく頭の中に思い浮かべていた。
だがしかし、僕も少しは成長していた様だ。
「名誉ある撤退」
なぜだか浮かんだのがこの言葉だ。
名誉なんてどこにもありはしない(笑)が、ふっとこの言葉が浮かんだのだ。
しかし、しばらくは心の中で葛藤していた。
「こんなところで止めてこの先取り返せるのか?」
「ここは一気に勝負に出て取り返した方がいいんじゃないか?」
「こんなモヤモヤした気持ちで止められるのか?」
「いやいや何度同じ事繰り返すんだ?」
「前にこんな状態になったら絶対止めるって誓っただろ?」
「こんな状態じゃ絶対当たらないって散々経験してきただろ!」
結局、天使?の僕が勝つことになった。
一旦、名誉?ある撤退をする事になったのだ。
ここから流れが変わります。