旅とバカラと酒と本

自分のおももくままに書き綴るブログです

旅のあれこれ⑦ タイの屋台

以前のタイは屋台がもっと至る所に存在していた。

安くて美味しいタイ料理の屋台が街の至る所に存在しているのは旅行者にとってたまらない魅力であった。

近くの売店シンハービールを買い、屋台のパッタイ(タイの焼きそば)を注文して店の前に置いてある安物のプラスチックの椅子とテーブルで食事をするのはたまらない悦楽であり、極楽であり、快感であった。

バンコクの喧騒の中で生暖かい空気にさらされ、わずか30バーツ(当時100円程)で美味しいパッタイをつまみにビールを飲んで酔っ払う。これが悦楽でなくて何であろう。

屋台料理で人気な一品としてカオパット(タイの焼飯)がある。例に漏れず僕も大好きな料理で、何より作るのを見ているのが楽しい。(何で日本のテキヤの人達は焼飯の屋台をやらないんだろうか?絶対うけると思うのだが)

手際よく作っているその様は、あれは一種の芸術ではないか・・・と思わせるほど見事なものである。

中華鍋ひとつから何一つ無駄のない動作であっという間に作り上げるカオパットは見ている人を恍惚とさせる。

まず、家庭では見ることの出来ない強力な火力で中華鍋を熱し、素人から見れば多少多めかな、と思わせる量の油を投入する。

そこへ僕が注文したカオパットクン(エビ炒飯)のエビや具材を投入し、火が通ったらタイ米を入れる。そして、塩、コショウ、そしておそらくは味の素など調味料をふりかけ、実に見事に手首を返しながらそれらを宙に舞わせてまんべんなく味をいきわたらせながら火を通す。作る途中の中華鍋とおたまの織り成す「カン、カン」という音がまた堪らない。

が、残念な事に最近はタイ政府が街の美化の為、屋台を禁止してその数は減少している。

博多の屋台なども同じ様に規制で減ったが、街の発展と比例してこれらの文化が無くなっていくのは旅行者という無責任な立場からはとても残念な事である。