旅とバカラと酒と本

自分のおももくままに書き綴るブログです

旅のトラブル③

こういう状況でベトナム人に文句を言ってもおそらくまともな対応は期待出来ないだろう。過去の経験からそれは容易に想像出来た。

第一濡れた本やパスポートを元に戻してくれと言ったところで無理な相談だし、そもそも彼等は日本人の様に謝ったり責任を取るという発想が極めて希薄である。

それに昨日の宿のオヤジの傲岸不遜な態度を思い出すと益々期待薄だと思われた。

それでも僕は文句を言わずにはいられなかった。

そして宿のオヤジを見つけると自分の部屋まで引っ張って行き惨状を目の当たりにして見せた。

反応は予想した通りである。

 

「おう これは大変だ。何が起きたんだ」てな事を言う。

 

「昨夜の雨でベランダから水が流れて来てバッグがびしょ濡れだ。本やパスポートだってこの通りだ。」と言ってつまんで見せた。

 

オヤジは「これはアンラッキーだ」みたいな事は言うが決して謝らない。

そして僕はこう言った。

 

「昨日払ったお金を返してくれ」

「いや、それは出来ない」

「何故だ?僕はこんなひどい目にあったんだぞ」

「いや、お金は返せない」

「どうしてだ。おかしいだろ」

「いやお金は返せない」

「返せ」

「返さない」

「返せ」

「返さない」

 

以下無限ループ状態で続く事に・・・

 

業を煮やした僕は「警察に言うぞ」とおどしてみた。

するとオヤジは悔しい事に薄ら笑いで「勝手にしろ」と言う。

頭に来た僕は「よ~し分かった!」とゲストハウスを飛び出した。

 

が行くところがない・・・

 

警察がどこにあるかなんて皆目見当もつかないし、しかし啖呵を切った手前、宿の近くをうろうろしてみた。

するとあったのだ。ウソみたいに警察がすぐ近所に!

宿を左に出て四つ角を偶然右に曲がった所で歩いてものの2~3分のところに警察署があり警察官が1人眼に入った。しかし僕が話し掛けても反応が薄く面倒臭そうでまるでやる気がない。しかも足元を見ると素足にサンダルである・・・

それでも僕はこの警官を無理やり引っ張って宿に連れ帰りオヤジに引き合わせた。

まさか本当に警察官を連れて来るとは思わなかったのであろう、オヤジは大そう驚いていた。ざまあみろである。

そこからオヤジは一生懸命なんとか自分が有利になるよう警官に話していた様だが(ベトナム語なのでさっぱり分からないが雰囲気からしてそんな感じ)僕が警官を自分の部屋まで連れて行くと僕に同情的になったのが分かった。

そこから僕が畳みかけるとついに警官はオヤジにお金を返すように言った。

だだし半分だけである・・・

そしてそこからはラチがあかなくなり、もう僕も面倒臭くなってその金額で妥協した。

その金額わずか7ドルである・・・

いや、しかしこれは金額の問題ではないのだ!(と思いたい・・)

(そう言えば昔インドでオートリクシャーのオヤジと目的地に着いた時最初に言っていた料金と違うので散々言い争って喧嘩した事があったけど後で考えたら邦貨にしてわずかに15円なんて事もあったなぁ)

 

そんなこんなで何とか泣き寝入りする事なく宿のオヤジに一矢報いたという事で金額はせせこましいがこれでいいのだ!(天才バカボン風)