以前ツキの流れが来たと踏んでそうではなかったというこんなケースがあった。
ポイペトでの話である。
座ったバカラのテーブルは珍しく日本人のみが3人でプレイしていた。どうやら彼等は知り合いの様でおそらくバンコクから遊びにきている感じであった。
ポイペトのバカラのテーブルで日本人は大変少なく、大抵がタイ人でカジノによっては中国人だらけ。場末のカジノに行くとほとんどがカンボジア人である。
僕が入って4人になったそのテーブルではバンカーに賭けた。流れ的にもバンカーが順当で他の日本人もバンカーに賭けたが1人だけ最後にプレイヤーに賭けた。雰囲気から言ってどうやら彼はまだバカラを始めてそんなに日が経ってない様な所作が感じられた。
バカラはプレイヤーからカードをめくる。そしてその彼が引いたカードは9と絵柄でいきなりナチュラルの「9」。
「あ~」だの「なんだよ~」等、知り合い達の落胆の声が漏れた。
バンカーの最高額を賭けたのは僕だったのでカードをめくった。
最初の数字は6。
2枚目のカードを絞るとワンライン。つまりカードの中央に1列だけマークが見えた。この場合可能性のある数字は2か3である。2なら負けるし3なら最強の9に対し引き分ける事が出来る。
僕は力を込めてそのまま一気に絞りあげた。
すると何と3が現われ最強の9に対しドローに持ち込む事が出来た!
周りから感嘆の声が漏れた。
「お~」
「すげ~」
知り合いではないのでもちろん小声である。
流れ的にはバンカーであったし9に対し9で対抗し負けなかった。この場合も本来なら負けたであろう勝負であり、これはいけるかもしれないと感じ次の勝負では賭け金を更に倍に増やした。
賭けたのはそのままバンカーで彼もそのままプレーヤーに賭けた。
すると何という事か彼が出した2枚の合計はまたしても「9」
流石に連続で9を出されるとこちらもへこむ。それでも気を取り直して1枚目をめくると8。普通で言えば悪くない数字である。
しかしこの場合1を引く以外負けが確定する。2枚目を絞ると流石に2匹目のどじょうはおらずカードは絵柄で合計は「8」。同じナチュラル同士で負けてしまった。
「9」と「8」を出して1度も勝てない。
僕は思わず席を立った。「ツイてますね~」と妙に余裕のあるふりの、内心では忸怩たる思いでのセリフを残して。
この場合なにがいけなかったのか。やはり引き分けたとは言え勝ち切ってないのにツキがあると思い込んだのがいけなかったのか。それともビギナーズラックで彼にツキがあり過ぎたのか。はたまたこんな短期間の勝負で自分のツキなど判断してはいけなかったという事か。
まあ、そのどれかかもしれないしそうではないかもしれない。
それにしてもバカラは難しい・・・